妖の桜姫

ふと上を見ると
木の枝に立ち
こちらを見下ろす青年が。


銀色の長い髪に
白の羽織。
鋭く美桜を見つめる瞳はとても冷たく
まるで蛇のような姿。

「誰···」

青年は木から飛び降りると
「俺は蛇族の頭首、巳颯(みはや)。悪いけど、桜姫には死んでもらう」

巳颯がそう話すと勢いよく
弦のようなものが美桜を目掛け···

「っ···」

「美桜ちゃんっ」
と後ろから狐白の声がし
向かう弦を
青い炎で燃やした。

「狐白···さん··」
狐白の姿は
先程とはちがい 頭に狐のような耳があり
狐のような尻尾があった。