妖の桜姫

「怒るなよ朱羅ー。これくらい大丈夫だって。なっ美桜っ」
と夜狐は美桜に話しかける。

「う、うん··?」
どう返事していいか分からずとりあえず
うんと美桜は頷く。

「ほらなっ」
と腕を組み威張る夜狐。

夜狐と朱羅が口喧嘩していると
廊下の向こうから
鈴の音が近づいてくる。

「美桜ちゃんっ」
と真っ白なピンクの桜模様のリボンをつけた
メスの猫が美桜に飛びつく。

「鈴っ?!えっ、今喋った?!」
「まってたのよ、ずっと」
と美桜にスリスリする
鈴。

鈴は美桜が生まれた頃より飼っていた猫だが、
美桜が小さい頃から今に至るまで
ずっと年を取らず見た目も、変わらずにいた
どこか不思議な猫。