明るくいつもまっすぐでどんなことにもひたむきに努力し、不可能を全て可能にしてきた強い女の子。そんなステラ様だからこそ側で支えたいと思えたし、この人こそが自身の主であり、俺のお嬢様だと思った。
それを何度も何度も俺は誰にもバレないようにステラ様にだけ伝えた。
「ステラ様、アナタこそが俺の主であり、たった1人の俺のお嬢様なのです」と。
するとステラ様はいつも嬉しそうににっこりと笑った後、
「アナタの主であり、お嬢様なのはリタ様ただ1人だよ」と言った。
その言葉を聞くたびに俺の胸はえぐられた。まるで捨てられた犬のような気持ちになった。
何度ステラ様に俺の忠誠を否定されても俺はステラ様にだけ密かに忠誠を誓い続けた。
そして俺はある日ふと思った。ステラ様が殺されることは逆にチャンスなのかもしれない、と。
ステラ様の暗殺を利用してやろうと俺は考えたのだ。
ステラ様を殺したフリをしてステラ様を監禁してしまえばいい。
監禁した後「ルードヴィング伯爵家がステラ様の命を狙っている。アナタを守る為にもここから出ないで」と事情をステラ様に説明すればステラ様も納得して囚われてくれるだろう。
そうすればステラ様の世界には俺だけになる。リタ様なんていない。
そしてそんな世界で俺はもう一度ステラ様に言うのだ。
「ステラ様、アナタこそが俺の主であり、たった1人のお嬢様なのです」と。
そこまですればステラ様もやっと理解してくれるはずだ。
後は2人だけの世界でずっと俺がステラ様をお守りすればいい。
何と幸せな世界なのだろうか。
その為にも誰よりも早くステラ様を見つけ、誰にもバレないように監禁しなければならない。
ステラ様は聡明で用心深い。
きっとこうなることも想定してある程度の準備をしていたはずだ。
ここまで探しても何の痕跡も見つからないとなるとおそらくステラ様は魔法薬を使って姿を変えているのだろう。
栗色の髪に緑の瞳の女性。
きっとステラ様は今それとは違う姿になっているはずだ。
下手をしたら性別を偽っている可能性だってある。
探す範囲も情報も膨大だが、幸せなステラ様との未来の為に俺は今日も考えを巡らせることにした。
誰よりも早くステラ様をこの手に入れる為に。



