「何が欲しい?」
「え」
ユリウスに突然冷たくそう言われて私は固まる。
急にどうしたの?買ってくれるとか?
「ここの次はそこの店に行こう」
そうユリウスに言われてユリウスの視線の先を見るとそこにはこちらも先ほど私が見ていたドライフラワーの店があった。
…ちょっと待って。
『あそこのいちご飴とわたがしとからあげを買って来い。金はこれだけあれば足りるだろう』
ほんの少し前にユリウスがジャンに言っていた指示を思い出す。よく考えればあれも全部私が見ていたお店だ。
つまりユリウスは私が見ていただけで全て買おうとしているのではないのか?
「いちご飴もわたがしもからあげも欲しいけど全部は欲しくないよ?」
「何故?」
「…全部は買えないでしょ?」
「買えるが?」
「それは貴族だからじゃん。私平民だし」
「あれを買うのは貴族の俺だ。問題ない」
何とロイヤルな男なのだろうか。
苦笑いを浮かべている私の言い分なんてお構いなしだ。これが貴族の感覚なのだから仕方のないことだが。
私のお金じゃないしいいのかな。
経済回るし。



