「…アナタはいつも俺を天国から地獄へと叩き落とすのですね」
何秒、いや何分待ったのだろうか。
やっと後ろからセスの声が聞こえる。
「いつもアナタはそうでした。アナタと共に生き、アナタだけに忠誠を誓える喜びをアナタはいつも何でもない顔をして奪う。何度も誠実に伝えてもアナタには届かない。アナタはどこまでいっても酷い人だ」
後ろから聞こえてくる辛そうな声は、振り返らずとも、セスの悲痛な思いが伝わってくる声で、私の胸まで痛くなる。
私の言葉に絶望した声だ。
私がいつセスから喜びを奪ったのだろうか。
忠誠を誓える喜びって…。
そこまで考えて、私の頭の中にふとある言葉が思い浮かんだ。
『ステラ様、アナタこそが俺の主であり、たった1人の俺のお嬢様なのです』
こっそりと囁くようにセスが私に何度も言っていた言葉。
私はいつもそれを本気だとは思わず、適当に流していた。
私はあくまでリタの代役だ。ただの代役に忠誠を誓う意味がわからなかったのだ。



