「大袈裟ではございませんよ?ここにあるもの全てオーダーメイド品なのですから」
「…」
変なものでも見るような目で私を見るセスに私は絶句する。
セスは確か男爵か子爵の家の出だったはずだ。それも三男でセスに家の資産がある訳ではない。
ルードウィング伯爵家からの給料は他の仕事よりも高級取りだろうが、それでもこんなにもぽんぽんとお金を使えるほどのものなのだろうか。
もしかしなくても私の為にセスは全財産を使っているのではないのだろうか。
セスのぶっ飛び具合に固まること数十秒、私は「お、お金は大事に使いなよ~」と何とか引き攣った笑みでそう言うことしかできなかった。
「?もちろんでございます。だから俺は大事に使っておりますよ?」
そんな私にそうなんでもないように言ったセスに私はまた絶句したのだった。



