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私の夕食を準備する為にこの部屋からセスが出て行った約1時間後。
私は今日も足が不自由なのでセスの手によってソファに運ばれ不本意だがセスの手から夕食を食べていた。
「次は何を食べますか?」
「んー。じゃあ次はサラダで」
笑顔で私の答えを待つセスに、私は目の前のテーブルいっぱいに並べられた食事の中からサラダを指差す。
するとセスは「かしこまりました」と笑顔で頷き、慣れた手つきでフォークを使い、私の口元へとサラダを運んだ。
まるで赤子の世話を焼くように私の世話をするセスに今でも恥じらいはあるが、一ヶ月もこれを繰り返されればさすがに耐えられるくらいには慣れた。
もちろん必死に耐えた結果がこれだというだけで、やらなくてもいいのならやりたくない。
「…ねぇ、セス」
セスから食事を食べさせられながらも、私は意を決してセスを見据える。
だが、あくまで表面上はいつもと変わらぬ笑顔を浮かべ、他愛のない会話をするように口を開いた。
「私、ずっとこの部屋にいるでしょ?だから何だか窮屈で…。他の部屋にも行ってみたいんだけどどうかな?」
今は安定しているセスがまた不安定にならないように慎重に言葉を選ぶ。
私はここで生活するようになって初めて、この部屋から出たいとセスに主張した。



