悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





もし、ここで書類が偽物であるとバレれば私は終わりだ。ここを違法に通ろうとした罪、書類詐称などいろいろな理由で捕まってしまうだろう。
そして最悪罪人としてルードウィング伯爵に見つかり、殺される未来が見える。

職員の次の動向を固唾を飲んで見守ること数分、職員はやっと顔を上げた。
たった数分のことだったが、この列に並んでいた時よりも緊張により、ずっと長く感じてしまった。



「書類に不備はありませんでした。お通りください」

「はい。ありがとうございます」



職員に淡々と促され、私はそのまま何事もなかったかのように魔法陣を踏む。



「…」



と、通れた。
私、帝国外へについに出たんだ。

検問所からやっと帝国外へと出られた私は安堵で体から力が抜け、表情も柔らかくなった。
今すぐに「自由だー!」と叫びたいが、あと少しだけの我慢だ。