だが、その後がまるでわからない。
ここがどこかさえもわからない。
仕方ないので首だけ動かして何とか周りを確認すると、ここはどうやら木造の小さな寝室のようだった。
この小さな寝室のベッドで私は寝ていたみたいだ。
それから私の体はまだ本来の姿のまま、つまり19歳の姿のままだった。
あれから朝が来ていないので、この姿なのか、何日も経っており、今が夜だからこの姿なのかはわからない。
「あ?起きた?」
私が目覚めたことに気がついたキースがこちらに歩み寄ってくる。
「おはようございます、ニセモノのリタお嬢様」
そしてまたあの不気味な笑顔を浮かべた。
「…キース。私が誰だかわかるの?」
また私を〝ニセモノのリタ〟と呼んだキースを私は不思議そうに見つめる。
私がこの姿でキースに会うのは初めてだ。
あくまで私はリタの代役として、リタのままキースと関係を築いていた。
なのでキースはそもそもリタの代役である私という存在を知らないのだ。
そんなキースが今の私を見ただけで、私がリタの代役、〝ニセモノのリタお嬢様〟だと気づけたことに私はただただ驚いた。



