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「…っ!」
突然、意識が覚醒し、勢いよく瞼を開ける。
瞼を開けた私の視界にまず入ってきたのは、暖かみのある木で作られた見たことのない天井だった。
どこからどう見てもここはあの薄暗い森ではない。誰かの家だ。
そこまで状況を理解して、初めて私は今見ていたものが夢だったと気がついた。
ロイと騎士たちに追いかけ回される夢なんて何て嫌な夢を見てしまったのだろうか。
妙に現実味のある嫌な夢に私は寝ていたはずなのに疲れを感じてしまう。おまけに額や背中の汗も酷く、不快感まであった。
最悪な目覚めだ。
「…っ」
目が覚めたのでとりあえず状況を確認する為に、体を起こそうとするが、体が驚くほど重い。
その重さに私は言葉を失った。
意識を手放す前、最後の記憶はキースの元まで辿り着けたところだった。
その後、今までの疲労と安心感からすぐに意識を手放したところまでは覚えている。



