悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜






あの似顔絵付きの紙は一応消えた私を探そうと作った紙なのだろうが、まるで指名手配書のような見た目だったので、あれを最初に見つけた3日前、私はそれはそれはもう驚いた。
自分が一体何をしてしまったのかと首を傾げていたが、よく見ると私をただ探しているだけのものだったので拍子抜けしたものだ。
私の似顔絵の下に書かれているお礼金の1000万がまるで懸賞金のように見え、思わず笑ってしまった。
WANTEDと書かれていないだけであれはどこからどう見ても指名手配書だった。

それから街で私の指名手配書もどきを見つける度に、私はその指名手配書もどきがある街から何度も何度もさっさと離れ、森の中を移動する手段を選んでいた。

それだけ色々と見聞きしてしまえば、十分フランドル公爵家の大騒ぎの様子がわかってしまう。
きっとユリウスも今頃私を探しているのだろう。



「…私が急に1人でプチ旅行に行ったのでみんなびっくりして探しているのかもしれないです」

「びっくりして当然だよ。何も言わずに姿を消すことはプチ旅行ではないからね」

「…」



何とかこの場を切り抜けようと言葉を選んだのだが、それをロイに笑顔でバッサリと否定されてしまい、思わず黙ってしまう。
ロイはどうやら事情を全部知っていたみたいだ。