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「ステラ!」
なかなか今日のお昼が決まらず、歩き続けている私に後ろから誰かが声をかけてくる。
聞き覚えのない声に、もしかしたら人違いかもしれないと私はその声を無視した。
そもそもここに私のことを知っている人がいるはずがない。
「ステラ!待って!」
「…」
「ねぇ!ステラ!」
無視し続ける私の肩を誰かが掴む。
つまり人違いで私を呼んでいた誰かはやはり私を呼んでいたということになる。
…何度も言うがここに私を知っている人がいるはずがないのだ。
「…何ですか」
警戒しながらも様子を見ようと後ろを振り向けば、そこには全く知らない帝国騎士団の青年が立っていた。
こんな帝都から遠く離れた場所に帝国騎士団の騎士がいるなんてどうしたのだろうか。
帝国騎士団が動かなければならないほどの大きな事件でもこの辺りであったのだろうか。
それに何故、この知らない青年は私を知っているのだろうか。
人違いではないのだろうか。
いろいろな考えを巡らせながらも、全く知らない青年に疑念の視線を送れば、青年は困ったように笑った。



