キースにさえ会えば、今、私の体に起きていることも把握でき、解決できるはずだからだ。
人があまり好きではないキースだが、魔法は大好きな魔法オタクなので、今のキースの薬を使った後の私の姿を見れば、きっとキースは実験の対象として喜んで私を迎え入れてくれるだろう。
キースが住んでいるのは私の記憶が正しければ、国境付近の森、ルーワの森だ。
リタの代役時にいつかキースの元を訪れる可能性があると思い、私は本人に直接キースの家の場所を聞いていた。
私が今いる街は国境の街、マルナだ。
マルナの奥にはキースがいるルーワの森がある。
後はルーワの森に行くだけだ。
空を見上げれば真上に太陽が昇っている。
もうお昼だ。
「…」
ルーワの森はすぐそこなのだが、お腹が減っていては何もできない。
お昼ご飯を食べてから移動しても遅くはないだろう。
そう判断した私はどこか美味しそうなお店を探してマルナの街を歩き始めた。
この判断をしたことを数十分後、後悔することになるとはこの時の私は思いもしなかった。



