…つまり時間は戻っていない?
でも私の体は小さい…。
そこまで考えてある可能性が頭をよぎった。
確かに時間は戻った。ただしそれは私の体の時間だけだ、と。
そう考えると目の前のユリウスがそのままで私だけが小さいのも脇腹に傷があるのも頷けた。
「あの、私は一体…」
何から聞けばいいのだろうか。
ベッド横まで来てこちらを冷たく見下ろすユリウスに今の状況を説明してもらおうと戸惑いの視線を向ける。
するとユリウスは冷たい表情のまま口を開いた。
「ここは帝都内にあるフランドル公爵家の客室だ。お前は1週間前、宮殿の中庭で刺されて倒れていたんだ。それを俺が見つけてここへ連れてきた」
「…なるほど」
つまりやはり時間は戻っていないのか。
私の読みは当たっていたらしい。
まさか暗殺者ではなく、ユリウスが私を見つけて保護までしてくれるとは何と運が良かったのだろう。
もし暗殺者に見つかっていたら私の命はなかったはずだ。
「ありがとうございました」
「いや当然のことをしたまでだ」
頭を下げる私に子どもに向けているとは思えないユリウスの冷たい声が聞こえるが、これが無愛想なユリウスの通常運転なので別に気にはならない。



