「んん…、ステラ?」
私の異変に気がついたのか、ユリウスが眠たそうにベッドの上でそう言っている。
ど、どうしよう。
もし、今の姿を見られたら私は何とユリウスに説明すればいいの。
ステラだと言えば信じてもらえる?
ぐるぐると頭の中でいろいろな考えが浮かんでは消えていく。何が正解で何が不正解なのかわからない。
「ユ…」
とりあえずユリウスの名前を呼ぼうと声を出す。
だが、声を出した瞬間、自分の声があまりにも12歳のステラとは違い、ユリウスの名前を呼ぶこともできなかった。
ダメだ。私があの〝ステラ〟だとどうやって証明すればいいのかわからない。
私は今の状況を説明することを諦め、いつか使おうと用意していた脱走用の大きな鞄を手に取った。
これさえあればどこへでも…いや、せめて隣町ユランにまでなら行けるはずだ。
「…ステラ?」
なかなか返事を返さない私にユリウスがついに体を起こす。



