悪女の代役ステラの逃走。〜逃げたいのに逃げられない!〜





私は近い将来、この公爵邸から…いや、ユリウスから離れることになる。
いつか離れなければならないのなら、せめて今だけでも一緒にいたい。

だからこそ、私は今もユリウスと一緒に寝ることを望んでしまっている。

我ながら絆されたな、と思う。
だが、これはもう仕方のないことだ。

今日も私の側にユリウスがいてくれる。
幸せなまどろみ中、私は今日もユリウスの横で眠りについた。




*****




「…っ」



突然、息苦しさを感じて目を覚ます。

く、苦しい。



「…ゴホッ」



そう感じた次の瞬間、何かが込み上がり、咳き込むと、私の口内いっぱいに鉄の味のする液体が溢れた。

え。