「…んーん。ちょっと見てただけ」
私はそんなユリウスに軽く首を振った。
気恥ずかしさはもちろん悟られないようにいつもの調子で。
するとユリウスはそんな私に「そうか」と優しく呟き、私の頭に手を伸ばすと、優しく撫でた。
ユリウス行方不明事件から私たちはこうして毎日一緒に寝ている。
てっきり一緒に寝るのはあの日だけだと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。ユリウスは次の日も、その次の日も当然のように寝る時間になると私の部屋に現れ、私と一緒に寝ていた。
事件前の私なら一緒に寝ることなど絶対に問答無用でお断りしていただろう。
だが、しかし、あの事件以降、ユリウスの存在が私にとってどれだけ大切で、どれだけ大きなものなのか思い知ってしまい、どうしてもユリウスを部屋から追い出すことができなかった。
事件解決の次の日、
「もう寝るか」
と、言って急に私の手を引き、布団へ入ったユリウスを今でも鮮明に思い出せる。
マイペースで意味のわからないユリウスの言動に最初こそ驚いたものだが、毎日続くとそれにも慣れてしまった。



