sideステラ
ユリウス行方不明事件はアリスが正式に帝国騎士団に捕まり、帝国の地下牢に拘束されたことによって終わった。
ジャンたちの後を追うようにあの現場に現れ、全てを見てしまった父であるハリーもアリスを庇うことはできず、心苦しそうだったが、その手でアリスを宮殿地下牢へと連行していた。
そしてあれから数ヶ月後。
私がここ、公爵邸へ来てもう半年が経った。
隣で私と同じ布団に入るユリウスを見て私は思う。
もうすっかりユリウスと寝ることが日常になってしまった、と。
窓からわずかに差し込む月明かりを吸い込むまっすぐな黒髪が、サラリと下へと流れ、その髪から覗く瞼は閉じられている。
瞼を閉じているユリウスの姿は当然ながら端正で息を呑むほど美しい。
相変わらず黙っていれば作りもののように完璧な見た目だ。
「…眠れないのか?」
私の視線に気がついたユリウスが瞼をゆっくりと開け、切れ長の金色の瞳で私を捉える。
冷たい印象はいつものことだが、その瞳には私への優しさや愛情があり、少し気恥ずかしくなってしまう。



