それでもこの愛らしい少女はいつもどこかへ消えようとしている。
行くあてなどないのに何故かここから出たがるし、一度自力で勝手に出て行こうとした時もあった。
だが、そんなステラが俺に言ったのだ。
俺の専属護衛だから俺を助けに来た、と。
そう初めて言われた時のあの感覚を今でも忘れられない。
心の内側から喜びが押し寄せ、どのように表現するのが適切なのかわからないほどの高揚感をあの時俺は覚えた。
まるでこれからも俺の専属護衛とてステラが側に居続けてくれると言ってくれたような気がした。
あんな女に出し抜かれて囚われてしまったことは今でも悔しいし、嫌な経験だ。
だが、あのステラの言葉が聞けたのなら悪くなかったとさえ思えてしまう。
今、一緒に寝る選択をしているのも、ステラが離れ難そうにしていたから、というのもあるが、俺もステラと離れ難かったからだ。
俺もステラとできるだけ一緒にいたい。
これからもできればずっと一緒にいたい。
その為にはやはりステラを今のままの中途半端な立場にしておくわけにはいかない。
さっさと家族になってしまった方がいい。
父も母もステラのことを気に入っている。きっと俺がステラを家族にすることを提案すれば、快く受け入れ、共にステラを家族にできるように動いてくれるだろう。
「…ステラ」
愛している。
言葉にまでは出さなかったが、頭に浮かんだ言葉に俺は納得した。
俺はステラを愛しているのだと。
だからこんなにも気になって気になって仕方なかったのだと。



