もうあんなユリウスは見たくない。
思い出すたびに胸が苦しくなる。
早くここから離れたい。
早くここから逃げ出したい。
そんなことばかり思っていたはずなのに、気がつけば私の中でユリウスの存在は大きなものとなっていた。
いつか必ず私はユリウスの前から姿を消すが、それでも私はユリウスのことが大切なのだ。
「…ステラ」
ユリウスに変な気は使わせまいとずっと笑顔でいた私だったが、やはり上手く笑えていなかったようで、ユリウスが無表情ながらもどこか心配そうに私を見つめた。
「今日は一緒に寝るか」
「え」
「その方が安心できるだろう」
ぽん、とユリウスが私の頭に優しく触れ、伺うように私の瞳を覗き込む。
とんでもないユリウスからの提案に私は目を丸くするが、どうしてもユリウスからのこの提案を突っぱねられない。
何故だろうか。今日はユリウスと離れ難い。



