「…ねぇ、そこから離れてくれる?ユリウス様は私のものなのよ?他の誰もユリウス様に触れることも近づくことも同じ空気を吸うことさえも全て許されていないのよ?」
ゆっくりと一歩ずつそう言ってクスクスと笑いながらアリスがこちらに近づいてくる。めちゃくちゃなことを言っているアリスに私は顔をしかめた。
苛烈だとは知っていたが、これは苛烈を通り越して狂っている。おかしすぎる考えだ。
「…ユリウスはアナタのものじゃないよ。その変な考え、改めた方がいいんじゃない?」
「変?私が?何で?愛するとはそういうことでしょう?」
「…」
違うんじゃない?
そう今にも口から出そうになったが、その発言は火に油を注ぐような気がして、何とかグッと私は耐えた。
「離れないのなら死のうね。アナタ1人葬るのなんて簡単なのよ?」
なかなかユリウスから離れない私についに痺れを切らしたアリスが短剣を前に突き出してこちらに突っ込んでくる。
それを私は難なく避け、ついでに自身の剣で短剣を叩き落とした。
落ちた短剣をアリスが拾えないようにそのまま遠くへ蹴り飛ばすことも忘れない。
短剣は私に蹴り飛ばされたことによって勢いよく飛んでいき、カン!と遠くの壁にぶつかって止まった。



