「…はぁ」
私は諦めて大きくため息をついた。
もう逃げられない。
「伯爵が言っていた。お前は賢いと。流石に3人で行けば観念するだろうともな」
暗殺者の1人が淡々とそう喋って私にゆっくりと近づく。
伯爵様はよくわかっていらっしゃる。
伊達に8年間私を見てきた訳ではないですね。
ふ、と伯爵のことを思って皮肉っぽく笑うと私は観念したように両手を上げた。
そして一思いに私を刺そうとしてきた暗殺者の首に手刀をお見舞いした。
「ぐあっ」
そう苦しそうに声を上げて暗殺者がその場に倒れる。
「なっ!」
「貴様っ!」
すると先ほどまで落ち着いていた暗殺者たちは一気に臨戦態勢に入った。
プロのくせにルードヴィング伯爵の言葉だけを信じて油断するからこうなるのだ。



