「みんなも彩に久しぶりに会いたがってるし、とにかくさ、自分達の代の主将がいないと、やっぱり盛り上がらないんだよ。」
そう声を励ます遥に
「この前、由理佳さんから連絡もらってさ。」
「そうなの?」
「うん。それで実はおんなじこと言われたんだ。『あんたも主将経験者なんだから、いい加減1回くらい、OB・OG会に顔出しなさいよ』って。」
ややバツ悪げに、彩が言い出す。宮田由理佳は、彩たちにとって高校の1年先輩であり、また彩の前任の弓道部の主将でもあり、彩が、同じ女子選手として、また主将として目標にした存在だった。
「由理佳さんに言われたんじゃ、いよいよ逆らえないね、彩。」
そんなふたりの関係を知る遥が笑いながら言うと
「わかったよ・・・。上司と相談してみる。」
彩は答えていた。そのあとも、いろいろな話に花が咲き、気が付けば、あっと言う間に時間が過ぎていた。
「明日も仕事なのに、ごめん。遥と話してると、時間を忘れちゃうよ。」
「ううん、私も同じだから。」
そんなことを言い合いながら、席を立ったふたり。会計を済ませ、店を出て、肩を並べて歩き出し、駅に着く。
「じゃ遥、気を付けてね。」
「うん。彩はOB・OG会の件、くれぐれもよろしくね。彩が来れば、私や浩人はもちろん、二階くんや斗真先輩だって、きっと大喜びだよ。」
「わかった・・・。」
その彩の返事に満足そうに頷くと、遥は足取りも軽く、ホームに向かって行ったが、その彼女の後姿を見送る彩の表情は複雑だった。
そして、また慌ただしい週末がやって来た。今週は担当の結婚式のない彩だが、担当カップルとの打ち合わせ、更には、新規見学者の対応とスケジュ-ルはビッシリだった。
この日、朝一で打ち合わせに訪れたカップルに、彩はサンプルのテーブルウェアを広げていた。
「お二人のご希望に合うものをいくつかご用意しました。」
と笑顔で言いながら、彩は丁寧にクロスやカトラリーのセットを並べて行く。
「季節感を取り入れたいと仰っていたので、秋の結婚式にぴったりの落ち着いた色味を中心に揃えてみました。」
「すごく優しい色合いですね。イメージ通りです。」
彩の言葉に、新婦は目を輝かせながら、テーブルクロスを手に取っていた。
そう声を励ます遥に
「この前、由理佳さんから連絡もらってさ。」
「そうなの?」
「うん。それで実はおんなじこと言われたんだ。『あんたも主将経験者なんだから、いい加減1回くらい、OB・OG会に顔出しなさいよ』って。」
ややバツ悪げに、彩が言い出す。宮田由理佳は、彩たちにとって高校の1年先輩であり、また彩の前任の弓道部の主将でもあり、彩が、同じ女子選手として、また主将として目標にした存在だった。
「由理佳さんに言われたんじゃ、いよいよ逆らえないね、彩。」
そんなふたりの関係を知る遥が笑いながら言うと
「わかったよ・・・。上司と相談してみる。」
彩は答えていた。そのあとも、いろいろな話に花が咲き、気が付けば、あっと言う間に時間が過ぎていた。
「明日も仕事なのに、ごめん。遥と話してると、時間を忘れちゃうよ。」
「ううん、私も同じだから。」
そんなことを言い合いながら、席を立ったふたり。会計を済ませ、店を出て、肩を並べて歩き出し、駅に着く。
「じゃ遥、気を付けてね。」
「うん。彩はOB・OG会の件、くれぐれもよろしくね。彩が来れば、私や浩人はもちろん、二階くんや斗真先輩だって、きっと大喜びだよ。」
「わかった・・・。」
その彩の返事に満足そうに頷くと、遥は足取りも軽く、ホームに向かって行ったが、その彼女の後姿を見送る彩の表情は複雑だった。
そして、また慌ただしい週末がやって来た。今週は担当の結婚式のない彩だが、担当カップルとの打ち合わせ、更には、新規見学者の対応とスケジュ-ルはビッシリだった。
この日、朝一で打ち合わせに訪れたカップルに、彩はサンプルのテーブルウェアを広げていた。
「お二人のご希望に合うものをいくつかご用意しました。」
と笑顔で言いながら、彩は丁寧にクロスやカトラリーのセットを並べて行く。
「季節感を取り入れたいと仰っていたので、秋の結婚式にぴったりの落ち着いた色味を中心に揃えてみました。」
「すごく優しい色合いですね。イメージ通りです。」
彩の言葉に、新婦は目を輝かせながら、テーブルクロスを手に取っていた。


