彩がブライズル-ムに戻った頃には、化粧台の前に座る新婦の準備はすっかり整っていた。白い肌に上品なチークが映え、ネイルも完璧だ。最後の打ち合わせで確認した通りのその出来栄えに
「すごく綺麗ですよ。」
彩は新婦にそう声を掛けていた。
「ありがとうございます。」
はにかみながら、微笑む新婦に
「新郎様が首を長くしてお待ちです。参りましょう。」
彩も笑顔で告げた。
式は予定通り11:30に始まった。 チャペル内は花の香りに満ち、パイプオルガンの音色と共に始まった挙式は、厳かで温かな雰囲気に包まれている。粛々と進行して行く式を、彩はゲスト席の後方から静かに見守る。
式当日のプランナ-の役目は、介添え役として、新郎新婦を一番近くでサポ-トすることだが、実はそれに全精力を傾けていればいいわけではない。
式の進行状況に、常に気を配り、各スタッフに適宜指示を出し、プランニング通りに事を運ぶための「司令塔」でもある。プランナ-が判断を誤れば、式が崩壊しかねない。とにかく、おめでたい席であり、滞りなく式を終了させられて当たり前。なにかトラブルがあれば、大問題に発展しかねないのだ。
新郎新婦が誓いの言葉を述べ、指輪交換が終わり、やがて退場。ふたりを先導しながら、彩はこのあとの記念写真撮影までの段取りを、頭の中で確認する。披露宴のスタ-トまで1時間半、ロスタイムは許されない。
13:00、 立会人の乾杯の発声と共に始まった披露宴。彩は会場内を動き回りながら、料理の進み具合を確認したり、細かい調整に余念がない。そして15:00に披露宴終了。そのあと、招待客(ゲスト)を見送り、更に着替えを終えた新郎新婦を見送るまで、約1時間。それまで一瞬たりとも気を抜くことは出来ない。
全てが終わり、16時過ぎにオフィスに戻った彩だったが、ようやく昼食にありつけたのも束の間。ホッと一息つく間もなく、その後、式を控えた別のカップルとの打ち合わせが待っていることもしばしば。こういった打ち合わせも、結局は土日祝日に多くが集中することになるのだから、止むを得ない。
「お待たせいたしました。」
打ち合わせの席に現れた彩に、疲れた表情を見せることなど、当然許されない。
「すごく綺麗ですよ。」
彩は新婦にそう声を掛けていた。
「ありがとうございます。」
はにかみながら、微笑む新婦に
「新郎様が首を長くしてお待ちです。参りましょう。」
彩も笑顔で告げた。
式は予定通り11:30に始まった。 チャペル内は花の香りに満ち、パイプオルガンの音色と共に始まった挙式は、厳かで温かな雰囲気に包まれている。粛々と進行して行く式を、彩はゲスト席の後方から静かに見守る。
式当日のプランナ-の役目は、介添え役として、新郎新婦を一番近くでサポ-トすることだが、実はそれに全精力を傾けていればいいわけではない。
式の進行状況に、常に気を配り、各スタッフに適宜指示を出し、プランニング通りに事を運ぶための「司令塔」でもある。プランナ-が判断を誤れば、式が崩壊しかねない。とにかく、おめでたい席であり、滞りなく式を終了させられて当たり前。なにかトラブルがあれば、大問題に発展しかねないのだ。
新郎新婦が誓いの言葉を述べ、指輪交換が終わり、やがて退場。ふたりを先導しながら、彩はこのあとの記念写真撮影までの段取りを、頭の中で確認する。披露宴のスタ-トまで1時間半、ロスタイムは許されない。
13:00、 立会人の乾杯の発声と共に始まった披露宴。彩は会場内を動き回りながら、料理の進み具合を確認したり、細かい調整に余念がない。そして15:00に披露宴終了。そのあと、招待客(ゲスト)を見送り、更に着替えを終えた新郎新婦を見送るまで、約1時間。それまで一瞬たりとも気を抜くことは出来ない。
全てが終わり、16時過ぎにオフィスに戻った彩だったが、ようやく昼食にありつけたのも束の間。ホッと一息つく間もなく、その後、式を控えた別のカップルとの打ち合わせが待っていることもしばしば。こういった打ち合わせも、結局は土日祝日に多くが集中することになるのだから、止むを得ない。
「お待たせいたしました。」
打ち合わせの席に現れた彩に、疲れた表情を見せることなど、当然許されない。


