「葉山・・・こちらこそ、よろしくな。」


千夏の懸命の言葉に、まずは笑顔で答えた尚輝は更に


「とにかく俺は、これからも何があっても、ずっとお前の味方だからな。それだけは忘れないでくれよ。」


と付け加えるように言ったが


「だからぁ、そういう思わせぶりなこと言わないでよ。だから勘違いしちゃうんでしょ。尚輝っちの女ったらし！」


千夏に思わぬ言葉を投げつけられ


「お前、なんてことを・・・。」


目を白黒させながら、言葉を失ってしまう。その姿を見て


「そっか、尚輝は女ったらしだったのか。気が付かなかったなぁ。」


彩はそう言って、笑い出す。


「ちょっと、彩先輩まで何言ってんですか。勘弁して下さいよ。俺、一応教師なんですから、少しは俺の立場も考えて下さい。」


慌てて、真顔で抗議している尚輝を見て、今度は千夏が吹き出した。


それを見て、憮然としている尚輝を尻目に


「とりあえず、千夏ちゃんが笑顔になってくれてよかった。よし、千夏ちゃんの部活復帰を記念して、もう1試合どう？」


「是非、よろしくお願いします。」


と盛り上がる2人。それを見て


「ちょっと待って下さい。無理言って学校開けさせてもらってるんで、そろそろ閉めないと・・・。」


慌てる尚輝。


「別にこのあと、ここ使う予定があるわけじゃないでしょ？だったらいいじゃない。大切な部員の練習の為なんだから。」


「は、はぁ・・・。」


煮え切れない態度の尚輝を、不思議そうに見ていた彩は


「あ、わかった。あんた、このあと、彼女と待ち合わせなんでしょ？」


ハタと気付いたとばかりに、声を上げる。


「いや、まあ、その・・・ご明察で・・・。」


見破られたかと、バツ悪そうな尚輝に


「そんな理由じゃ、ますます協力出来ないよ。ね、千夏ちゃん。」


「はい。」


いたずらっぽい笑いを浮かべた彩に、千夏もニヤニヤ顔で応じる。