白雪姫の王子様

勢いよく、病室のドアを開ける。

「……っ」

……遅かった。

ベッドの上では、雪が顔を両手で覆い、
真っ赤になっていた。

その隣では、莉子と翔がニヤニヤしている。

そして――

「……は?」

俺は固まった。

なぜなら、そこには、他に人が二人もいたからだ。

雪のお母さん。

そして、兄貴。

意味が分からない。

雪の様子を見る限り、全部話した後だ。

問題は、なんでそこに兄貴と雪のお母さんがいるんだってことだ。

俺が入り口で立ち尽くしていると、
兄貴が俯いたまま近づいてくる。

……なんなんだよ。

嫌な予感しかしない。

思わず、一歩下がる。

すると、兄貴は俺の肩に手を置いた。

そして、ゆっくり顔を上げる。

その表情を見た瞬間、寒気がした。

「やるじゃないか、弟よ」

めちゃくちゃ嬉しそうだった。

「うるせぇ!」

即座に手を振り払う。

顔が熱い。

「雪ちゃんから、全部聞かせてもらったぜ〜?」

翔が、楽しそうに言う。

「……っ」

殺意が湧く。

莉子も、うんうんと満足そうに頷いている。

絶対こいつら、根掘り葉掘り聞いたな。

雪のお母さんを見る。

怒っているのでは、と心配になった。

でも――

なんだか、嬉しそうに笑っていた。

その顔を見て、少しだけ胸が熱くなった。