白雪姫の王子様

警戒して開けられずにいると、

「うわぁ……!」

隣から、雪の嬉しそうな声が聞こえた。

見ると、雪が真っ赤なマフラーを広げている。

綺麗な赤。

まるで、白い雪の上に落ちた林檎みたいだった。

雪は嬉しそうに触っている。

でも、巻き方が分からないみたいだ。

そんな雪を見て、
莉子が優しく巻き方を教える。

「できた!」

そこには、
マフラーをリボンみたいに巻いた雪がいた。

白い肌。

赤いマフラー。

まるで――

「白雪姫じゃん」

翔が呟く。

雪は恥ずかしそうに、こっちを見た。

「似合うかな……?」

「めっちゃ似合ってる!」

「雪、可愛すぎ!」

俺が答える前に、翔と莉子が騒ぎ始める。

「嬉しい!」

雪の顔がぱっと明るくなる。

「ありがとう、莉子!」

「可愛すぎる〜!」

莉子がそのまま雪へ抱きついた。

「あ、蓮も開けて」

莉子が俺の箱を指差す。

「ああ……」

嫌な予感を抱えながら箱を開ける。

中には、同じ赤いマフラー。

「これって……」

「そう!」

莉子が満面の笑みで言う。

「雪とお揃い!」

予想外すぎて、言葉が止まる。

……お揃い?

これを巻いて、雪と街を歩くのか?

無理だろ。

そんなことを考えていると、耳元で、

「照れてんのか?蓮くん」

翔が囁いてきた。

気持ち悪くて鳥肌が立つ。

「やめろっ!」

即座に距離を取る。

すると、雪が不安そうにこちらを見ていた。

「……っ」

そんな顔されたら、断れるわけないだろ。

ゆっくり、マフラーを首に巻く。

雪と同じ、真っ赤なマフラー。

俺には似合わない気がした。

でも、雪は嬉しそうに笑っている。

……反則だろ。

その後も、

いつ出かけるか、

どこへ行くか、

みんなでたくさん話し合った。

病室には、ずっと笑い声が響いていた。


でも――

俺は、雪が一瞬見せた、あの不安そうな顔が、
なぜか頭から離れなかった。