「誰よッ、こんなふざけた手紙をよこしたのは!」

 下校時刻の夕闇が迫るなか、校内の靴箱の前でわたしは絶叫した。
 生まれること早16年。
 恋愛の”れ”の字もしたことがない私に届いていたのは、ラブレター……のように思える挑戦状。

『俺は柳瀬さんのことが好きです。あなたに告白をしたいので、俺を探してください』

 これはまた、とんでもない手紙が入っていたものだ。

 差出人の名前など、もちろんない。
 手紙を全て調べたが、間違いなく柳瀬ゆうか、わたし宛て。
 怒りに思わず手紙を、ぐしゃりと握りつぶすとこだった。

「新しいタイプのいたずら……? 許さない、犯人を絶対に調べてやるから……!」

 そして、この手紙を突きつけ――るどころか、叩きつけて、全力でお断りしてやるんだからと決意する。
 カバンを持ち、怒り心頭で学校を飛び出した。

 この時わたしの背後に、覗き見る誰かがいたなんて――
 当然ながら、知る由もなかった。