村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

村にいるときには毎日風呂に入るような贅沢はできなかった葵だがここへ来てからは毎日湯船に使って汗を流すことができた。

水は山の水を使っているようで透明で触れるとサラサラした感触がある。

薪で火を沸かすのは大変だからとすぐに陽神は式神を出そうとする。

けれど葵はそれを止めて自分でできることは自分でするようにしていた。

でないと、自分が何者なのかもわらなくなってしまいそうだ。

「葵は律儀だな。甘えればいいものを」
一旦式神を出そうとした陽神は呆れながらも葵の気持ちを優先して、人形をたもとに戻した。

「不自由のない生活に慣れてしまうと、村人たちの苦労を忘れてしまいます。陽神さま、私は私。できるだけ村と同じような生活がしたいです」

☆☆☆

だけど、どうしてもそうできないときもある。

昼間あれだけ葵にベッタリだった陽神が夜の葵をほっておくわけがなかった。