村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

お膳には他にもお吸い物と山菜のおひたしが添えられている。
立派な朝食だ。

これを子供たちが作ったなんて信じられないが、式神だから見た目年齢は関係ないみたいだ。

「葵が子供の頃に作ってくれた餅も、元気が出た」
「そうなんですか?」

「あぁ。ただ、そういうことをできる人は少ないはずだ。心からの願掛けができる人が作ったものじゃないと力は生まれない」

そう言われて葵は納得できるところがあった。
1度目は両親が病に侵されて死んでしまうかもしれないときだった。

そして2度目は村八分にされた自分が死んでしまいそうになっていた。

そんな中の願掛けは通常では考えられないような力を持つ。

だからこそ、葵は陽神に見初められたのだった。

「宴の席でも言ったけれど、ワタシの存在は信じてもらわないと消えてしまう。葵は村で一番ワタシの存在を信じてくれていた」

「そう……なんですね」