村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「わかった。好きにするといい」
思えば朝をゆっくり過ごすことなんて滅多にあるこじゃなかった。

店を昼間に開けようと思えば朝や前の晩から仕込みが必要になる。

太陽が登った頃には起き出して、店の準備と自分たちで食べる朝食の準備をしていた。

葵は陽神のお言葉に甘えてゆっくりと布団をたたみ、寝室の掃き掃除をした。

そうしていている間に朝食の準備が整って、ふたりそろって部屋へと向かう。

「これって、私が作ったお餅?」
お膳に出されたのは見覚えのある餅で、夏と春を見つめる。

「そうだよ! この餅は食べれば元気がでるんだ」
青の返答にまたなにかまじないをかけてくれたんだろうかと思ったが、そうではなさそうだ。

「あたしたちはなにも手を加えてないんだよ。もともと作った人の気持ちがこの餅に入ってるからなの」

それは間違いなく葵の気持ちのことを言っているので、なんとなく恥ずかしくなってしまった。