村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

大急ぎで布団から飛び出して着替えをしている最中に陽神が戻ってきた。

「葵、起きていたか」
「は、はい! すみません寝坊してしまいました」

「今日は疲れているんだから、ゆっくりすればいい」
そう言われて見ると陽神はまだ寝着のままだと気がついた。

厠へでも行っていたのだろう。
それに気がついてホッと息を吐き出す。

「今から朝食を作りますから」
「それから式神たちが作ってくれているから、気にしなくていい」
「でも……」

それじゃ自分がどうしてここにいるのかわからない。
できることはするつもりでいた葵は拍子抜けして座り込んでしまった。

「ここでは葵がしたいと思ったことをすればいい。朝起きれなくても、気にする必要はない」

本当にそれでいいんだろうか?
神様の嫁になったのに、神様の身の回りのこともできないなんて。

「わかりました。朝食は式神たちに任せます。ですが、夕飯は私に作らせてください」