それでも、大味にならず食べ物本来の味を楽しめているのは、さすが料理人直伝の教えがあったためだった。
「葵ちゃんはすごいね。私なんてなにもできないのに」
餅を半分ほど食べたところで舞がうつむいてしまった。
「そんなことないよ。舞ちゃんは寺子屋で一番勉強ができるし、家も大きいじゃない」
葵からすればそれがほんとうに羨ましかった。
1度でいいから、舞のような素敵な着物を着てみたいと夢見ている。
だけど舞は苦笑いを浮かべると「これ、ほんとうにおいしいね」と、話題を変えたのだった。
☆☆☆
父親が葵に店の経営について教え始めたのは15歳になった頃だった。
すっかり大人っぽく成長した葵は寺子屋をやめて手伝いに専念するようになっていた。
相変わらず視力は弱いままだったけれど、15年間暮らしてきた家のタンスにぶつかることはもうない。
「葵ちゃんはすごいね。私なんてなにもできないのに」
餅を半分ほど食べたところで舞がうつむいてしまった。
「そんなことないよ。舞ちゃんは寺子屋で一番勉強ができるし、家も大きいじゃない」
葵からすればそれがほんとうに羨ましかった。
1度でいいから、舞のような素敵な着物を着てみたいと夢見ている。
だけど舞は苦笑いを浮かべると「これ、ほんとうにおいしいね」と、話題を変えたのだった。
☆☆☆
父親が葵に店の経営について教え始めたのは15歳になった頃だった。
すっかり大人っぽく成長した葵は寺子屋をやめて手伝いに専念するようになっていた。
相変わらず視力は弱いままだったけれど、15年間暮らしてきた家のタンスにぶつかることはもうない。



