村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「舞ちゃん、また来てくれたんだ! ここ、座って!」
視力の弱い葵でも、綺麗な着物を見ればすぐに舞だと気がつく。

葵は舞に特等席に座るように促すと、自分で作った餅を準備した。

それは割り箸にもち米を巻きつけて焼いて、甘辛い味噌をまぶしたものだった。

食事としてもいいし、お菓子としても食べられる一品だ。
味噌をあんこにかえても美味しい。

「これすっごく美味しいね! もしかして葵ちゃんが作ったの?」
「えへへ。お父さんに教えてもらったの」

葵はこのとき10歳になっていて、厨房の中で手伝いをする機会も随分増えてきていた。

もともと店を葵についでもらいたいと思っていた父親だったが、葵の視力が弱いと知って余計に力が入っていた。

とはいえ、視力の弱い葵にあまり包丁を使わせる気にはならず、できるだけ刃物を使わない料理を教えていた。

今葵が作れるのはこの餅と、材料をザックリ手で千切った豪快な汁料理だった。