村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「ボクも葵ちゃんの白無垢見たい!」
「あたしも! あたしも!」

小さなふたりが広くなった部屋の中を飛び跳ねながら言う。
小さい子にお願いされるとどうしても断りにくい。

葵はそっと白無垢に近づいて指先で布に触れてみた。
ふわりとして柔らかく、とても着心地が良さそうな生地をしている。

「こんなに柔らかい着物初めてです」
「この生地には特別なものを使っているからね。着てみればその重みだって感じないはずだ」

陽神が着物かけから白無垢を取り、葵へと振り向いた
葵は緊張しながら陽神へ背中を向ける。

陽神はその背中に白無垢をかけた。
ふわりとした感触と、全く重みを感じない着物に驚いて目を見開いた。

「本当に重くない! どうしてですか!?」

これだけ立派な着物ならさぞかし肩がこるだろうと思っていたけれど、その心配もなさそうだ。