村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

後ろから元気な声が聞こえてきたので振り向くと、そこには春が立っていた。

隣には夏の姿もあり、ふたりは常に一緒に行動しているみたいだ。

「それってどういうこと?」
葵が春へ向けて聞いたとき、隣に立つ陽神が両手を空中へと持ち上げた。

そちらへ視線を向けると陽神が親指同士、人差し指同士をくっつけてひし形を作ったかと思うと「は!」と声を張り、同時に指を離して両手を左右に大きく伸ばした。

たったそれだけのことなのに部屋がグンッと広くなる。
まるで手品を魅せられているようで葵は何度もまばたきを繰り返した。

「すごい……」
「ここは神域だから、陽神の好きなように変化させることができるんだ」

なぜか自分のことのように自信満々に言ったのは夏だ。
だけどすごい。

本当にすごい。
一瞬でもとの広さの3倍はあるような空間が出来上がってしまったのだから。

「これで大丈夫だろう?」