村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

他に厠や中庭にお風呂場を案内された葵は、元の部屋に戻ってきていた。

「さて葵。もう1度ちゃんと君の気持ちを聞かせてほしい」

正座をして真剣な表情になる陽神に葵も正座で背筋を伸ばした。
夏と春は中庭で遊び始めていて、声だけが聞こえてくる。

「ワタシは自分の勝手な一存で葵を助けて嫁にしたいと思った。葵、君はどうだ? ワタタシと共にここに暮らすことを願うか?」

質問されて葵は大きく息を吸い込んだ。
視力も正常に戻してもらえて、命まで助けてもらえて、断る理由なんてどこにもない。

だけど気になることがひとつだけあった。
「神様と結婚した私はなにになるのでしょうか?」

ただの人なのか、それとも神様と同じような立場になるのか。
それが気がかりだった。

「なんだ、そんなことか」
陽神はふわりと柔らかい風がふくような笑顔をみせた。