村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「これらは全部村人たちからのお供えだよ。もちろん、葵が来れた餅もある」

そう言って棚の上の段から皿を取り出すと、たしかにそこには葵が作った小ぶりな餅が並んでいた。

「でもそれは少し前にお供えしたものですよね? もうカチカチになってるんじゃ?」

不安になって指先でつついてみると、餅はつきたてのように柔らかかった。

「心配しなくてもいい。ここにお供えされたものはしばらくの間ちゃんと食べられる様になっているんだ。もちろん、時間が行き過ぎれば普通の作物と同じように食べられなくなるけれどね」

だからこれだけ新鮮なままで山菜などが置かれているのだ。
さすが神域。

なにからなにまで常識を覆されることばかりだ。
次に陽神が案内してくれたのはふたりの寝室だった。

今はなにもない広いだけの和室だけれど、ここにふたくみの布団が引かれるのだと思うと、今から気恥ずかしい気持ちになって顔をそむけてしまった。