村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「ふたりとも、こっちへ」
陽神に手招きされたふたりが背筋を伸ばして部屋に入ってくる。

お盆に乗っているのはお粥の入った茶碗とさじだった。
それが葵の前に差し出される。

「こっちが夏。こっちは春」
「よろしくお願いします!」

陽神から紹介をうけて女児の春が元気よく挨拶する。

葵はその勢いに負けて「こ、こちらこそよろしくお願いします」とかしこまった返事をしてしまった。

「この子たちはワタシの式なんだ。君のためにお粥を作ってもらっていた」
「ボクが作ったんだよ!」

夏が自信満々に胸を張る。
「本当はあたしが中心になって作ったの! 夏は上に乗っている大葉を刻んだだけなのよ」

夏と春が言い合いを始める中、葵はひとりおろおろとそれを見つめる。

陽神はすっかり慣れっこのようでニコニコと微笑むばかりで止めようとしない。

「あ、あの、式ってことは人ではないんですか?」