村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

クロはいつものようにゴロゴロと喉を鳴らして葵にすりよった。

「なんだか立派な部屋ね、見たことのない家具ばかりだわ」

部屋は葵が寝起きしていた自室の倍以上の広さがあり、豪華な屏風や装飾品があちこちに飾られている。

葵が少しでも触れて壊してしまったが、大事になってしまいそうで怖いくらいだ。

「クロ。ここにあるものは絶対に壊しちゃダメよ? いくらここが天国だとしても、きっと神様が怒るから」

葵がクロへ向けて注意を促したときだった。
廊下がわに面している障子が開いたかと思うと、眩しい光が差し込んできた。

「花瓶を割ったくらいでワタシは怒らないから、安心してほしい」

光だと思ったのはその人が着ている着物の輝きと、その人自身から発せられる神々しさだと気がついた葵は口をポカンを開けた。

「あなたは……陽神さま?」
訪ねてから家で起こった出来事が夢ではなかったのだと気がついた。