村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「私は神様にお餅を持っていきました。あなたではありません」

もしかして神主さんだろうかと思いながら言うと、男は右手で口元を隠してクスクスとおかしそうに笑った。

「そうだね。わかっているよ。ワタシの名前は陽神(ヨウシン)というんだ。陽の神と書く」

「陽神? それじゃあの神社と同じ?」
「そう。ワタシはずっと葵の頑張りを見てきた。だからどうしてももう1度助けたくなってここにやってきたんだ」

そこまで聞いて葵はようやく相手が神様その人であると理解した。

でもまさか、神様が実在していた上に自分のところへやってくるなんて思ってもいないことだ。
「か、神様が、どうしてここへ?」

驚きのあまり数歩後ずさりをして聞く。

「ふむ。葵のことはずっと気にかけていた。あれだけ熱心にワタシにお祈りする村人もいないからね。どんな逆境も乗り越えてこの店を守ろうとしている姿に胸を打たれたんだよ」