村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

グルグルと思考を巡らせている間にその人は葵のすぐ隣までやってきていた。

「葵。毎日餅を持ってきてくれてありがとう」
ニコリと微笑むその人に葵の頬が赤く染まる。

「えっと……どこかでお会いしましたか?」
1度会えば忘れるはずはないが、相手は自分の名前を知っていた。

ということは、知らない間に面識ができた人なのかもしれない。

視力が弱くて相手の顔をまともに認識できない葵にはよくあることだった。

「あぁ。幼い頃から私に餅を持ってきてくれていたではないか。甘辛い味噌味の」

「それはお店で出していたもので、どこかへ持っていった覚えはないのですが……」

「いや、持ってきてくれた。それから最近では小さな餅を持ってきてくれたな。あの石段で何度も何度もつまづきながら」

その言葉に葵は男を見つめて口をポカンを開けてしまった。

小さな餅に石段といえば、この村唯一の神様である陽神神社しか思い当たらない。