村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

村の神様

次に目が覚めた時、葵は見知らぬ場所にいた。

天井に人の顔があるのを見た瞬間「ひっ」と声を上げて勢いよく上半身を起こす。

それから周囲を見回して何度もまばたきをする。
ここはどこ？

そう思う反面、やけにこの場所になじみがあることに気がついた。
「あれ？　メガネは？」

次に自分がメガネをかけていなことに気が付き、天井の顔が木目であることにも気がついた。

メガネをかけていてもボヤけていたものが、すべて鮮明に見えている。

「ここは私の家。あっちがお店」
信じられない気持ちがふらりと歩き出す。

部屋の真ん中にある囲炉裏も店へ続く戸も全部が知っているもので、だけどすべてがボヤけて見えていたものばかりだ。

どうして急に視力が良くなったのかわからない。
こんなことってあるんだろうか。

「あ、そうか。私死んでしまったんだわ」
ふと目が覚める前の出来事を思い出して呟いた。

とうとう食べるものが底をついてしまってクロを外に逃がしたんだ。
その後強いメマイを感じて倒れた。