村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

店には連日罵倒する張り紙がされ、ここにいたほうが身の安全を確保することもできる。

それでも神様は葵を助けることはなかった。
ついにもち米が底をついた時、葵は勝手口からクロを外へ逃した。

「お前は外でも生きていかれるから、心配しなくていいよ」

そう声をかけて戸を閉める。
その直後葵は強いメマイを感じてその場に崩れ落ちていた。

視界が揺れて気分が悪い。

外からクロの「ミャアミャア」という鳴き声と、壁を研ぐカリカリという音が聞こえてくるけれど、それもやがて耳に入らなくなっていた。

全身の力が抜けて、気分の悪さも遠のいていく。

意識を失う寸前に部屋の中に誰かがいるような気配を感じたけれど、それを確認することもできないまま目を閉じた。