村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

そう思うが、賢い舞のことだから他に理由があるのではないかと勘ぐっていた。

「舞ちゃんと話ができればいいけれど、できるわけないものね」

自分みたいな人間が庄屋さんの家に行ったところで、門前払いを受けるのは目に見えている。

舞が自分から葵を訪ねてこない限り話すことは難しい。
落ち込んで黙り込んだところで、クロが背伸びをして葵の鼻先をなめた。

ざらついた猫の舌がくすぐったくて自然と笑みが溢れる。

「元気づけてくれているのね? ありがとう。そうだクロ、明日は小さな餅を作って陽神さまのところへ行こうか。あそこの神様は私の願いを叶えてくださったことがあるのよ」

言いながら葵はさっそくもち米を確認した。
米びつの底が見えそうになっていて、一瞬息を飲む。

今店にある食料はこれだけだ。
自分が食べられなくなる日がそう遠くないことを知る。

それでも葵は笑顔で小さな餅をいくつか作った。