坂道を上がって丘の上にあるもち米屋に到着した葵は、控えめに戸を叩いた。
「ごめんください。女将さんいますか?」
透き通るような声は闇の中へと消えていく。
もし出て来てくれなかったらどうしよう。
そんな不安は店の奥から聞こえてきた足音によってかき消された。
「葵ちゃん!? こんな時間にどうしたんだい!?」
すっかり生気を失ってしまった葵に驚き、目を丸くしている。
「もち米が切れてしまいそうなんです。売っていただけませんか?」
そう言ってお金を取り出す葵を見て、女将さんが泣きそうな顔になった。
「ごめんね葵ちゃん。それはできないんだよ」
「どういうことですか?」
女将さんは言いにくそうに顔をしかめると、誰もいない夜道を確認してから葵に視線を戻した。
「実はね、葵ちゃんとこに売るならもう買いに来ないって言ってる人が沢山いてね」
「それって誰ですか? どうしてそんなことを」
「ごめんください。女将さんいますか?」
透き通るような声は闇の中へと消えていく。
もし出て来てくれなかったらどうしよう。
そんな不安は店の奥から聞こえてきた足音によってかき消された。
「葵ちゃん!? こんな時間にどうしたんだい!?」
すっかり生気を失ってしまった葵に驚き、目を丸くしている。
「もち米が切れてしまいそうなんです。売っていただけませんか?」
そう言ってお金を取り出す葵を見て、女将さんが泣きそうな顔になった。
「ごめんね葵ちゃん。それはできないんだよ」
「どういうことですか?」
女将さんは言いにくそうに顔をしかめると、誰もいない夜道を確認してから葵に視線を戻した。
「実はね、葵ちゃんとこに売るならもう買いに来ないって言ってる人が沢山いてね」
「それって誰ですか? どうしてそんなことを」



