村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

葵の店は連日カンコウ鳥が鳴くようになった。
来る日も来る日も誰もお客さんがやってこない。

次第に仕込みをする気力も失われてきて、葵は客席に座って呆然と外の景色を眺めていた。

大通りを行き交う沢山の人たち。
旅人の姿もあるが、誰もこの店を見向きもしない。

子どもたちが店に座る葵の姿を見つけては、意味も理解していないのに「売女!」とののしり、石を投げる。

仮にその子の親が近くにいたって関係なかった。
葵はもう、この村では透明人間になったのだ。

「もち米が、もうない……」
米びつに入れていたもち米を確認して小さくつぶやく。

1日に少量づつでも仕込みをして、売れなければ自分でそれを食べてきた。