村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

「嘘とか本当とかは関係ねぇんだよ。庄屋の旦那に手を出した。そんな噂が立っちゃあ、葵ちゃんだってもうやってはいけねぇだろう」

その言葉に葵は目を見開いて絶句してしまった。
嘘か本当かは関係ない。

噂が立ってしまった時点で葵の立場はひどく弱くなっているのだということに、初めて気がついた。

「そんな、でも、私はなにもしてないし……」
葵の声が震えた。
それを聞いた旦那の表情が少しだけ和らぐ。

可愛そうだと感じているのなら山菜をわけてほしいが、やはりそれはできなかった。

「東側の山に行けば山菜はいくらでも取れる」

旦那はひとことそう言うと、店の奥へと引っ込んでしまったのだった。

店に来てくれる客がいても、提供できる商品がなければどうにもならない。

葵は呆然とした気持ちでもち米屋へと向かった。
山の中に山菜があるとしても、今から向かえば夜中になってしまう。