村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

葵はそんなクロの体を強く強く抱きしめた。
そしてジワジワ浮かんでくる涙を堪えるためにその体に自分の顔をうずめた。

「私は大丈夫よクロ。だって、体なんて売っていないんだもの。旅人だけが来てくれれば自分のご飯は食べられる。だから、大丈夫なの」

自分自身に言い聞かせるようにつぶやく。

同時にこれは自分が欲を出したことがあるための罰かもしれないと考えた。

お父さんはずっと謙虚だったのに、自分は少しでも売上を良くしようと考えてしまった。

そうすればいい着物が着れるからと。
実際、最近では来てくれるお客さんも増えてきて、ちょっとしたものなら購入できるまでになっていた。

それが、いけなかったのかもしれない。
お父さんが切り盛りしていた頃と同じように、自分が食べる分だけの売上で十分だったのに。

「泣いてばかりはいられないわ。これからも頑張らないとね」