村八分にされた不遇の娘は神様の子供を授かり溺愛される

葵が作った餅を美味しいと言って食べてくれた舞は、もうどこにもいなかった。

「あんたのことなんて信用できない! この売女!」

舞は叫ぶだけ叫ぶと、大股でその場を去っていってしまった。

葵はしばらく店先から動くことができず、呆然と立ち尽くしていたのだった。

☆☆☆

村一番の庄屋の嫁さんが、息子を寝取られた。
その噂は信じられない速さで小さな村に広まった。

外を歩けば老若男女問わず葵を見てヒソヒソと噂をする。
小さな子どもとすれ違ったときには石を投げつけられることもあった。

「私はなにもしてないのよクロ。クロはそれをわかってくれているものね?」

店によりつく客はすっかり少なくなり、葵目当ての常連客たちもいなくなった。

そんな中で唯一の心の慰めはクロだけだった。
クロは葵がどんな境遇に立たされても関係なくそばにいてくれる。

寄り添って、ゴロゴロと喉を鳴らしてくれる。